秋の日記

主にNEWS関連になるだろう雑記。

傘をもたない蟻たちは感想

お家にいることが増え、今まで積読していた加藤さんの小説を少しずつ読み始めた。

私の変なこだわりだが、加藤さんの最新作である『できることならスティードで』を読む前に、今までの加藤さんの作品を全部読んでおきたかった。

小説とエッセイ本は違うから飛ばしてエッセイ本を読んだとしても何の問題もないけれど、なんとなく加藤シゲアキの作品の歴史を順番に感じたかった。

 

 

ふと1時間程度本読もうと思って加藤さんの小説読み始めたけど読めたの50ページだった。『安定』と思った。どうやっても私は1冊読むのに6時間かかる。こういうのって大抵1冊300ページだから、やっぱり私は1冊6時間かかる。安定。

前までは間が空くと作品の内容を忘れちゃうから、6時間かけて一気に一冊を読んでいた。だけど時間にも気持ちにも余裕もあるということで、暇な時に1時間程度小説を読み進めていこうと思った。結構そのやり方は私に合っていたようで、1時間タイマーをセットし、小説を読んでいくのは生活に良い刺激になった。

無理なく小説が読めて、加藤さんの作品に触れることができて、でも1時間程度なので他をやる時間もあって、生活に小説という時間も組み込まれた充実した最高の時間を過ごせている。

 


そんな読み方をしていたが、傘をもたない蟻たちはが短編小説ということもあって、1時間区切りではなく、1作区切りで作品を見た。どれもこれも感慨深くて面白かった。

ただ印象としては性描写が多かった。多分イガヌの雨以外は全部あったと思う。だから増田さんだか手越さんが加藤さんの小説はエロ本だと言ってたのかと納得。そういうことか。

どの作品も独特の世界観があり、舞台化する『染色』とはこういう話なのかとじっくり読んだが、私には不思議な世界で理解が難しかった。なので是非とも染色の舞台を見て、染色の世界とはどういうものなのかと違う角度や表現でも感じたいと思った。

他の作品もどれもこれも面白かった。自分の中にはなかった世界を感じることができた。なのでどうにかしてこの本から何個かドラマ化したという話は聞いていたのでそれを見たい!!!超見たい!!!という気持ちが膨らんだ。小説見るまではドラマを見たいという気持ちはそれほどなかったが、小説読んだことで今は見たくて見たくて仕方ない。

そういえば『にべもなく、よるべもなく』で結構考えさせられた。作品自体というよりも、加藤シゲアキという人間を。加藤さんの書く友情はとても綺麗だ。何故ああも綺麗な友情を書くのかと不思議だった。同性愛という要素も入っていて、主人公はそれを気持ち悪いと思っていたが、懸命に理解しようとしていた。その行為が綺麗だと驚いた。自分には無いものを拒絶反応が出ながらも友達自体は好きだということで、必死に葛藤しながらも理解しようとしていた。すげぇな、と。他にも友達の気持ちに答えることはできないけど自分を1番に好きでいてほしいというような描写も、加藤さんの一部を感じられたように思えて面白かった。


加藤さんの作品を読むことで、ちょっとだけ加藤さんのことをわかったように思えるのは、きっと私の勘違いだとは思う。

 

 

 

タイトル詐欺はいつも通りよ。