秋の日記

主にNEWS関連になるだろう雑記。

初めて直木賞の発表を見た

直木賞の候補としてオルタネートがノミネートし、私は初めて直木賞の発表を見た。

時間になったら、バーンこれです!と出るわけではなく、むしろその時間から選考がスタートし、選考委員がどれにするか決めてる間は、見てる人が暇しないようにニコ生で実況&作品解説をしてくれていた。

その生放送がだいぶ面白かった。やっぱり見る人によってこうも色々違うものなのかと感慨深かった。文学を嗜んでこなかった私は、何が良くて何が悪いとか正直ちんぷんかんぷん。

でもなんか、そもそもだった。そもそもの問題だった。

 


私はオルタネートの世界感は現代にマッチしていて面白いと思った。現代社会においてSNSは当たり前のもの。でも3人の話を聞いてて、上の層とのSNSに対してのギャップを何度も感じた。

特に「オルタネートが現実にあってもやらない」には、ほぉ!と思った。

今の若い人達にとってSNSって当たり前のもの。SNSについてよく覚えてる私の実体験は、同級生達が初対面同士なのに仲が良いということ。学校に入学したばかりではじめましてのはずなのにお互いを知っている。その真相は簡単だった。SNSでもう知り合っていたから。SNSで『春から○○高(○○大)に通います。同じ学校の人は仲良くしてください』と発信し、入学前から友達作りをしていた。それを知った時、SNSってすげぇな!と私は思った。

SNSってコミュニケーションツール。昔のことは詳しく知らないけど、多分基本的には人と人とが直接会わなきゃコミュニケーションは取れない。でも今は、近くに居ない人とでも簡単にコミュニケーションを取ることができるし仲良くなることもできる。そんな便利な世の中になった。

そんな便利な世の中を良い悪い判断するのは人それぞれだし、その便利なものを活用していくか活用していかないかも人それぞれ。ぶっちゃけ無くても生活はできる。

でも便利なものが当たり前の世代にとっては無くてはならないもの。そのスタートやSNSに対しての認識が上の層と下の層で違うからこそ、ギャップが生まれてる。

 

だから『そもそも』だった。そこが違うからこそ、オルタネートに対しての受け取り方は全然違うものになる。面白い。面白すぎる。

他にも印象的だったのが、オルタネートをやる時に学生証を提示しなきゃいけないことについて危ないやら何やらお話ししていたこと。実際問題マッチングアプリは身分証(免許証など)を提示しないと相手と連絡を取り合えない。身分証を提示することにリスクを感じるけれども、だからこそ安心する。

『連絡を取り合えるということは相手も身分証を提示してる』という1つの安心材料になる。ネットという何が起こるかわからない世界での安心材料って『私は私であること』『あなたはあなたであること』だと思う。

まぁだからと言ってリスクゼロではないのは確かだけど、マッチングアプリにおいて身分証提示って割と当たり前の話じゃん?ネットに身分を晒すなんて危ないという気持ちもわかるけど、それをわかった上でなるべく安全なものを選んで活用していく。だから色々とギャップ!!と思った。

 

多分、オルタネートって上の層より下の層に共感があるお話。それを上の層に理解してもらうのって超絶難しいと思う。昔と今じゃ技術も環境も違うから、『当たり前』が全然違うものになっている。

このギャップについては文学を知ってる知ってない関係なく、年齢によって『当たり前』が違い、同じ時代を生きているが現代への認識が違うからこそ。

『人それぞれ考え方が違うから』というのとはまた少し違ってて、年齢による当たり前のギャップがあって、私はマッチングアプリについて何となくわかってるからこそ、何も疑問も持たずに読み進めていたけど、上の層はまずそこで引っ掛かりがあるのか……なるほど!!とマジで驚いた。

 


文学を知らない人間だからあまり語れないんだけど、本って如何に没入させるかだと私は思うのよ。本の世界に引きずり込む、的な。

他の作品の解説の時に誰かが言っていたけど、『知ってる風景の描写があると嬉しい』みたいな。

共感があると没入しやすい。下の層にとっては当たり前だからオルタネートは没入しやすいけど、上の層にとっては当たり前じゃないからこそ、キラキラネームとか身分証提示に引っ掛かりを感じて没入が難しくなる。『そうそうわかるわかる』が多分ないんだと思う。

だからやはり世界観の構築って難しいよね。ファンタジーとかもそうだけど、ファンタジーってそもそも共感がない。でもそのファンタジーの世界観をしっかり説明することで、その世界を知らないのに前から知っていたような感覚になり、本の世界に引きずり込まれる。

下の層にとっては当たり前だから没入しやすいけど、それが当たり前じゃない上の層を没入させる世界観の構築が足りなかったのかもとお話を聞いてて感じさせられた。

そもそものギャップというハンデがあって、例えばそれを超える文章力があったり、ハンデを感じさせない程の世界観の構築があったりしないと受賞は難しいのかも……、とお話聞いてて頭によぎった。

 

直木賞の結果については、加藤さんのお話面白いんだけどなぁ……うえーーーーん、って感じ。

でも加藤さんのおかげで初めて発表会見れたし、文学に触れてる人のお話を聞けたし、他の候補作品について知れたし、ドキドキワクワクした面白くて楽しい時間を過ごせた。

文学に触れてる人達の発想や言葉や考え方って本当に面白い。だから直木賞を通してそういうのに触れられたのはとても楽しかった。

ありがとう加藤さん!!大好きだよ加藤さん!!愛してるよ加藤さん!!

 

 

 

個人的に「選考員の好み」「バイアス」「悪の組織」とか言ってたのめっちゃ面白かったし笑った。