秋の日記

主にNEWS関連になるだろう雑記。

オルタネート感想

オルタネートが発売されたのが2020年11月19日で、読み終わった今日が2021年2月7日。2ヶ月半が経ち、ようやく読了。

ネットで予約していたから発売日の前日には手元に届いていたけど、ずっとオルタネートを読むタイミングがなかった。

とは言いつつ、去年の12月の頭にソロキャンした時に少しだけ読んでいた。

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だからこそ『途中まで読んでるけど、読み始めた時、それまでの内容を忘れてたらどーしよう……』と思い、それで少し読むのが億劫になっていた。

だけど読み始めてみたらそんなこともなく、ちゃんと内容を覚えていたし、すごく楽しく夢中で読み進めることができた。

 

 

 

読んでいて無意識に口から出ていたのは「加藤シゲアキ〜〜〜〜」だった。

3人の話がそれぞれ進んでいて、どうなる?どうなる?と読み進めていたら違う人の話になり、またその話でどうなる?どうなる?と読み進めていたら違う人の話になる、の連続だった。

ずっとドキドキしっぱなしで、特に最後の方は変わるスパンが短くて感情がパニックだった。全然追い付けないし落ち着かない。どの話も全部がジェットコースター中で『あああああああ』ってなった。

楽しくて面白くてドキドキしてハラハラして、ずっと物語の世界に引き込まれて離してくれなかった。夢中になるってこういうことだな。時間も何もかも忘れてただただ没頭した。

『今日は100ページぐらい読み進められたらいいな』という軽い気持ちで続き(105ページ)から読み始め、結局その日のうちに全部読み切ってしまった。途中でやめることができなかった。面白くて夢中でページをめくった。

でもそういえば加藤さんの小説ってそうだった、と思い出した。チュベローズも面白すぎて(チュベローズで待ってる感想(ネタバレ含む) - 秋の日記)、私はあっという間に読み切ってしまった。加藤さんって本当に夢中にさせるの上手。読み手の感情を掴むのが上手い。

だから『加藤さんめ〜〜、翻弄させてくれちゃって〜〜』と、「加藤シゲアキ〜〜〜〜」と無意識に声が出ていた。

 

 

 

加藤シゲアキの書く話は面白い。

何から何まで面白かった。それぞれのキャラクターが魅力的だったし、内容も面白かったし、色々考えさせてくれるし、私は加藤さんの書くお話大好き。

あと料理を使うなんてとても加藤さんらしく、料理にこんなにもドキドキしたのは初めてだった。すごくすごく面白かった。

あまり本を読まない人間だから、青春小説をちゃんと読むのは初めてかもしれない。色んなことにぶつかりながらもめげずに進む高校生達はとても綺麗だった。

私は学生時代遊んでばっかいて、何かに打ち込んでた記憶はあまりない。だからこそ、オルタネートのように何かに打ち込む話は魅力的だったしキラキラしてドキドキもした。青春には語り尽くせない良さがたくさんたくさん詰まってるな、と読み終わってからも思い出すたびニコニコする。

あと珍しくカップルが誕生してて純粋に驚いた。しかも結構甘い感じでキュンキュンした。加藤さん、こういう話も書いてくれるのね!嬉しい!!くっつかなかったカップルも居たけど、どっちも悪い関係性ではないし、未来に期待できるような感じだった。

オルタネートは最初から最後まで綺麗だったな。高校生って微妙なお年頃。大人と子どものどっち付かずな感じとか、周りに翻弄される繊細さとか、なんかこうぐちゃぐちゃになってもおかしくないような題材なのに、それを綺麗に書き上げていたことにビックリした。

まぁでも相変わらずの加藤シゲアキで、難しい用語や『これの意図は何なんだ?』と思うことも多かった。私には加藤さんのすべてを理解することは難しい。でもそんな加藤さんの世界観ごと、私は好きだし愛してる。

 

 

 

ダイキとランディの話は色々考えさせられた。

マイノリティに対しての周りの反応はやっぱりそれぞれで、マイノリティであることで本人に少なからず生き辛さがあることに私は心を痛めた。

人を好きになるのに性別って関係あるのかな?そりゃ子どもを産むためには男×女じゃなきゃ今のところ生物学上無理だけど、別に誰を好きになってもいいと私は思っている。男女である必要性は子どもの誕生ぐらいで、もしもその問題が解決し、同性同士でも子どもができるようになったら、マジで人を好きになるのに性別って関係ない。

ただ男女問わず好きになることで好きの境目がわからなくなり、人間関係が崩壊する可能性があるとは思う。男女の友情が成立するかどうかすら危ういのに、同性まで友情が成立するかどうかわからなくなったら、めちゃくちゃ人間関係が大変になる。

蓉とダイキの関係性だってそうだよ。男女ではあるものの、ダイキが異性ではなく同性が好きなことで蓉はホッとし、友情がこれからも続くことに安心している描写がある。

こういうことなのかもね。基本的には同性を好きにならないマインドにさせて線引きをし、人間関係の円滑化や好きになれる人の可能性を狭めることで子孫繁栄の相手を選びやすくさせているのかもしれない。

色々余計なこと書いたけど、こういう系の話に触れるたび、好きになるのに性別って気にする必要ってある?別によくない?人それぞれだし勝手にさせてよ。生きやすい世の中になれよ。と、私は思うわけですよ。

マイノリティに優しい世界になればいいな。

 

あとどうでもいいんだけど、ダイキが手越さんと被る。似てるな、って思った。何がどうとか説明しにくいけどなんとなく。

 

 

 

 


そーいえば、直木賞の発表を見て、色々と書いた(初めて直木賞の発表を見た - 秋の日記)けど、それを書いたことも踏まえて思ったのはやはり世界観の構築だった。

オルタネートは加藤さんの独自のアプリな訳だし、もっと断定的にしてもよかったと思う。『オルタネートの実際の使用率』『オルタネートの魅力』とかこと細やかに決めてしまっても多分問題ない。

私なら高校生使用率98%とかにして、凪津をオルタネートガチ信者にさせる。『オルタネートで運命の王子様を〜〜』って小学生の頃からずっとオルタネートをやりたがっていた設定にして、何故そんなにも信者過ぎるのか、と凪津を掘り下げることでオルタネートの魅力+世界観を説明させる。

そして残りの2%は何故オルタネートをやらないのか、SNSに対しての不信感、知りも知ない人からの勝手な言葉に傷付く心などを蓉を通して語る。

多分そうやって世界観を構築させ、オルタネートという世界へと引きずり込んでから、それぞれの物語をスタートさせる。

まぁそれは私ならどうやって世界観の構築をするかって話なだけで、実際問題私はそんな世界観の構築云々関係なく物語の世界に引き込まれたし、出来上がった作品に正直たらればはいらねぇな。出来上がったものはそのまま楽しむのが1番だし、世界観がどうのこうのよりも重要なのは内容。安定に加藤さんのお話はめちゃくちゃ面白かったのでやはり私は直木賞が悔しい。

 


今、書いてて思い出したけどサマーウォーズの世界観って本当にすごかったなぁ。すべてがOZによって動いている。現代と比べるとえええええ!?!?と思うような近未来的な設定だけど、最初の描写ですごくわかりやすく世界観を説明しているからこそ、そういう世界なんだと納得したしのめり込んだ。主題歌もめっちゃいいよね、好き。

夏になるたびにサマーウォーズは見たくなる。

 

 

 

 


きっとオルタネートって青春のようなもの。

期間限定のアプリってことが特に青春っぽい。真っ只中の時は無我夢中で他のことに気付くのは難しいが、あとになって考えてみると世界はそれだけじゃないと思い知らされる。だけどその無我夢中だった時間が何よりも楽しくて儚くて尊くてキラキラしてる、みたいな。

あとオルタネート信者だった凪津が『私は、私を育てていく』と言うのは尊かった。親のこともあり、自分は母親みたいに失敗しないように、自分の感覚よりもオルタネートを信用し、自分の情報をオルタネートに教え込んで自分だけのオルタネートを育てていた。

でも凪津はオルタネートが導いてくれた人よりも自分の感覚を信用することにした。自分が自分を1番わかってあげる。自分で自分を育てていく。

育つ過程には色々あるだろうけど、イチジクの話のように、マリーゴールドの話のように、中身を理解し共に助け合って生き、そうやってすくすくと育っていくんだと思う。


そして「オルタネートみたいなの、高校生だけにあるわけじゃないからな」という台詞も、オルタネートだけが世界じゃないと思わせてくれた。

世界はここだけじゃない。自分次第で、どこまでもどこまで大きく広げていくことができるし、実際世界は自分が思ってるよりもとても広い。

 

 

加藤さんの本を読むたびに思うけど、加藤さんは本当に優しい人。それが本からいつも出ている。だから私は加藤さんの本が好きだし、そんな優しい加藤さんも好き。

 

 

 

時間が経ったらもう1度読み直してみたい。それぐらいすごく面白かったし、また色んな感想を持ちたい。