秋の日記

主にNEWS関連になるだろう雑記。

ピンクとグレー感想(ネタバレ含む)

どこでそれを知ったのか覚えてないけれど、NEWSにハマる前までの私はぼんやりと『ピンクとグレーってアイドルが書いた小説なんだっけ?ああ確か加藤シゲアキさんって人の作品だよね?』ぐらいの認識だった。

もしかしたら知ったキッカケは腐った思考ゆえだったかもしれない。

いつだったか忘れたけれど、ニアホモ小説としてピンクとグレーが挙げられてるのをネットで見て、その存在を知ったのかもしれない。不純な動機で申し訳ない。

そしてさらに失礼なことを承知で言うが、ちゃんと内容を知りもしないのに今までピンクとグレーをニアホモ小説としてカテゴライズしていた。

だからだと思う。ピンクとグレーは小説よりも先に映画を私は見ている。テレビで放送されたものを録画し、見るのを楽しみにしていたが、思ったよりもニアホモ要素がなくてガッカリしたのをなんとなく覚えている。

ただ最初から最後までしっかり映画の内容を覚えていることを考えると、相当面白かったんだと思う。しっかり最後まで騙されていたし。

 

 

 

前振りが長くなってしまったが、そんな私の初読ピンクとグレー感想語りをしたいと思います。

 


まず思ったのは実際の場所や番組・物が登場することが多い。

初っ端から主人公(りばちゃん)が見ている番組は情熱大陸だ。あえてそうだとわかるように表現している。

私は日頃小説を読まない人間だからこれが普通なのかどうかはわからないが、こんなリアルに小説は書かれるものなのか?

現実の世界と同じものが出てくることで、悪い面では空想の世界から出された。良い面では親近感があって想像しやすかった。


りばちゃんが思っていたよりもすごい良い奴で驚いた。最初大阪から横浜に来た時はなんて気の強い奴だと今後の展開にハラハラしたが、直ぐに周りと溶け込み人の良さが全開だった。

ごっちの意見尊重したり、サリーと二人っきりにさせてあげたり、節々に人の良さが出ていた。

そしてりばちゃんという人間は複雑だった。ごっちの成功を見たいのか見たくないのかハッキリしない。

体調が悪くなったりチャンネルを変えようとしたりと本能的には見たくないのに、なんだかんだごっちが出てるドキュメンタリー番組最後まで見たり映画を見に行ったりしている。

最初は親友が成功してることに対して嫉妬や劣等感があるのかと思ったけど、今考えると『純粋にごっちの成功を喜んでいる。だけど俺の知らないごっちを見たくない』という感じに思える。

りばちゃんの中でのごっちは止まっている。だから今のごっちを受け入れられないのかもしれない。

だけどりばちゃんがごっちを演じることになり、ごっちの過去を知り、ごっちの心情を考え、周りからの話を聞いてりばちゃんと離れていた間のごっちの知ったことで止まっていた時間が動き出してしまった。

動き出したことで、良い意味でも悪い意味でもあまり干渉しない無関心だったりばちゃんがどんどんごっちへとのめりこんでしまい、最終的に一つになったのかなと。


ごっちはなんでそうなったのかがわからないが、りばちゃんへの執着心がすごかった。

無条件にりばちゃんを信頼し、仕事をりばちゃんに振ったり、新居を全額負担しようとしていた。

矢印で表すならごっち→→→→→→→←りばちゃん

りばちゃんの何倍もごっちはりばちゃんのことが好きすぎる。多分この関係性がニアホモだと言われてたのかなと予想。

ただこれは小説内での話であって、ごっちの本当の気持ちはわからない。

小説の中で語られていたことは全てりばちゃんの妄想や想像でもある。


そもそもこの小説はりばちゃん主演で映画を撮り始めるまで、全てりばちゃんによる『白木蓮吾のドキュメンタリー小説』の話であって、本当のごっちは一回も出てきていない。

全てりばちゃんが思うごっち。だからすごく良い奴であるりばちゃんは、脳内補正して良い風にごっちを語っているだけで、本当に本当のごっちはわからない。それこそ周りからの話だって、死んだ人間を悪くは言わないはずだから、脳内補正していて良い風に語ってるのかもしれない。

だから読み終わった時、ニアホモ?となったし、この小説は『白木蓮吾のドキュメンタリー小説』とその映画化の際の話であって、りばちゃんが主人公なのに、最後まで主人公になれなかったな、と。

結構考えさせられる面白い話だった。

 

 

 

以上ピンクとグレーの感想でした。

これからは少し加藤シゲアキさんの話です。


これを加藤さんは25歳になる年で出版したとか。ピンクとグレーを見るまでに見た動画に『25歳までに何か代表作を作りたい』と加藤さんが語っているものを見たが、だからなのか、ピンクとグレーが動き出す(りばちゃんとごっちが再会し、ごっちが自殺する)のも25歳だった。加藤さんは相当『25歳』にこだわりがあるが、ここまでくると執念を感じる。なぜここまで25歳にこだわったのか?


ピンクとグレー見て思ったのは、加藤シゲアキという人間の考えがこうもわかりやすく文字にされてるなんて、小説とは良いものだなとそう思った。

そして小説の中での加藤ワールドをいくつか垣間見た。27歳と139日(合計すると10000日)、アルビノのメダカの話、オニアンコウの話、ファレノプシス。まだまだあったけど割愛。読んでて『加藤さんだなぁ』と感じた。

でも加藤さんの意図を全て汲み取りたかったけど、能面後輩や三浦さんの必要性などわからない部分も結構あった。


ピンクとグレーで書かれていることが加藤さんの全てじゃないことはわかっているが、これも確実に加藤さんの一部でもある。加藤さんの一部を知ることができて本当に嬉しかった。

加藤さんには世界がこうやって見えてるんだって知れたことが、ピンクとグレー拝読での一番の収穫。

 

 

 

加藤シゲアキの世界がここにはあった。